歯周病とは?原因や症状、治療しないリスクを解説
こんにちは。東京都墨田区、「錦糸町駅」より徒歩3分にある歯医者「ハートライフ錦糸町歯科クリニック」です。
虫歯と並んで歯科の2大疾患といわれ、発症者が多いのが歯周病です。
しかし、虫歯よりも目立った症状が出にくいため、受診が遅れたり放置されたりすることが多いといわれています。歯周病を治療しないとさまざまなリスクがあり、最終的には歯を失う原因にもなりかねません。
本記事では、歯周病とはどのような病気かを詳しく解説します。歯周病について正しく理解しておきましょう。
歯周病とは?
歯周病とは、歯肉炎と歯周炎をあわせた状態と定義されています。現在40歳以上の日本人約8割が歯周病に罹患しているとされており、特に55~64歳の歯周病の有病者率は82.5%と他のどの病気よりも多い傾向にあるとされています。
歯肉炎とは、歯と歯茎の間にできた歯周ポケットから侵入した細菌が、歯肉に炎症を引き起こした状態です。歯周炎は、歯周ポケットから侵入した細菌が歯槽骨を溶かして歯がグラグラしている状態です。
歯周病は、歯磨きが十分にできていない人や、喫煙者、糖尿病の人、噛み合わせが悪い人、歯ぎしりのクセがある人、銀歯などの被せ物がある人、口呼吸の人がなりやすいとされています。
歯周病の症状
歯周病の症状は、歯周病の状態によって異なります。歯周病の状態別に症状を解説します。
軽度の歯周病
軽度の歯周病とは、歯肉炎と呼ばれる状態のことです。この状態では、まだ歯肉に細菌が停滞している状態であるため症状は歯肉にのみ出現します。
健康な状態の歯茎はピンク色ですが、軽度の歯周病では歯と歯茎の境目が赤く腫れてきます。腫れているため、触ると出血しやすく、歯磨き中に出血することが増えるでしょう。
また、歯肉の溝が深くなり2~3mm程度の隙間ができます。一般的に軽度の歯周病では痛みがありませんが、急速に症状が進んだ場合は痛みを伴うことがあります。
重度の歯周病
歯肉炎の状態を放置するとどんどん状態が進んで、重度の歯周病になります。この状態を歯周炎と呼びます。
重度の歯周病では、歯茎の腫れや出血に加えて歯と歯茎の間の隙間が深くなるため、歯の隙間に食べ物が挟まりやすくなったと感じる方が増えるでしょう。さらに細菌が侵入して隙間が深くなった結果、細菌が歯槽骨という歯を支える骨にまで達します。
骨まで達すると細菌が骨を溶かすため、歯がぐらぐらし始めます。膿も出るようになり、人によっては痛みを感じるようになるでしょう。
中程度の歯周病の場合、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯茎の間は3~6mm程度ですが、6mmを超えると歯槽骨が半分以上破壊されている状態と推測されます。歯槽骨が破壊された結果、人によっては歯が抜けることもあります。
また、歯周ポケットが深くなるにつれて歯肉が退縮して下がるため、歯が大きく見えるようになったと感じることもあるでしょう。細菌が繁殖しているため、口臭を感じる方も増えてきます。
歯周病の原因
歯周病の原因は歯周病菌です。歯周病菌は数十種類以上あり、さまざまな菌が組み合わさって歯周病を発症させているといわれています。
歯周病菌が歯に停滞する原因は、以下のとおりです。
歯磨きができていない
細菌が繁殖する歯垢が付着している、つまり、十分な歯磨きができていないことが歯周病の最たる原因です。歯ブラシがうまく使えていない、歯磨きがうまくできていない、歯間ブラシなどのアイテムをうまく活用できていないことが歯を磨けていない原因として考えられます。
その他にも、歯の状態が歯磨きに影響している可能性もあります。歯並びが悪い場合は、歯並びが良い人よりもブラシが十分に届かなかったり、届いていても磨き残しが発生しやすかったりします。
また、歯に合わない被せ物や詰め物をしている場合も、その隙間に汚れが残り歯垢を発生させるでしょう。
歯に強い負担をかけている
歯ぎしりや食いしばりなど、歯に強い負担をかけた場合も歯周病の原因になると言われています。歯ぎしりや食いしばりで強い力をかけると歯肉や歯周組織に大きな負担がかかり、歯肉が衰えるためです。
歯周病菌が侵入した際、歯肉が弱っていると急速に歯周病が進行するのです。
喫煙
喫煙者は、非喫煙者と比べて歯周病に3倍かかりやすいといわれています。煙草の煙は口の中に入ると歯茎から吸収されますが、煙に含まれる有害物質は血管を収縮し、歯茎の血流量を減少させます。
歯茎に十分な量の酸素が行き渡らなくなるため、歯周病菌が活発になって歯周病が起こりやすくなるのです。
歯周病を治療しないと
歯周病は、症状からすぐに歯周病に罹患していると気づかれません。また、軽度の場合は日常生活に支障をきたしにくく放置されることが多いです。
しかし、歯周病を治療しないで放置すると、口の中及び全身にさまざまな影響を及ぼします。歯周病治療をせずに放置するリスクは、次の通りです。
歯を失う
歯周病が進行し、歯を支える歯槽骨が溶かされると歯が抜けてしまいます。一度歯が抜ければ元通りには戻りません。
また、歯周病菌は1本の歯にとどまらず周辺の歯にも感染していきます。そのため、1本の歯の歯周病を放置すると複数の歯を失うリスクが高まるのです。
心臓や脳の病気になるリスクがある
歯周病の人はそうでない人と比べて動脈硬化になりやすかったり、プラークが増えやすくなったりします。また、歯周病菌が血管の中に入り込み全身を巡ると、心臓に歯周病菌が侵入して心疾患のリスクを高めるため注意が必要です。
糖尿病が悪化する
歯周病は糖尿病の合併症の一つともいわれています。増えた歯周病菌は血管に入って体内を巡りますが、抵抗力がある場合、血管内で歯周病菌はある程度死滅するとされています。
しかし、死滅しても歯周病菌が持っている内毒素は残ります。内毒素が糖代謝を妨げ、血糖コントロール不良を引き起こすことがあるのです。
低出生体重児・早産
妊娠中の方に歯周病があると、低出生体重児や早産のリスクが高まります。低出生体重児は高齢出産や喫煙などさまざまな要因で引き起こされるとされていますが、歯周病菌によるリスクは7倍といわれており、他の要因よりもはるかに高いです。
誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎とは、食べ物や飲み物、唾液を誤って飲み込み、食道でなく気管支に入ったことによって起こる肺炎です。高齢者の場合、命に直結するリスクもある病気です。
歯周病菌が含まれている唾液を誤嚥することで、歯周病菌が気管支や肺で炎症を引き起こし誤嚥性肺炎の発症・悪化につながる可能性があります。誤嚥性肺炎の原因菌のほとんどが、歯周病菌であるとも言われています。
歯周病は治る?
近年歯科治療は急速な成長を遂げているため、歯周病も治すことができるようになりました。歯周病治療の時には、歯科医院でさまざまな検査をして歯周病の程度を診断したうえで、その人に合った治療を行います。
基本治療では、専門の機器を用いて細菌が溜まる歯石を除去し、歯垢が再度付着しないように歯磨き指導を行います。歯石が歯周ポケットの奥深くに入りこんで除去できない場合や歯周病が急速に進んでいる場合には、外科的治療が選択されることが多いです。
この場合、フラップ手術といって歯茎の一部を剥離して奥深くの歯石を除去する方法や、歯周組織を再生させる治療が行われます。
歯周病を予防する方法
歯周病は日常のケアで予防できます。予防方法は次の通りです。
正しい方法で歯を磨く
歯周病菌が住みつかないように歯をきれいにすることは、歯周病予防において重要です。正しい方法で歯磨きをしましょう。
まずは、自分に合った歯ブラシを見つけると歯磨きがしやすくなります。毛足はストレートで毛束は 3~4 列ほど、幅は1cm程度で高さは1.2~1.4cm程度の歯ブラシを選びましょう。
ただし、ご自身の口のサイズに合わせて選ぶことがポイントです。女性においては、幅が広かったり歯ブラシの高さがあったりすると、口の奥までブラシが届かない可能性があるでしょう。ヘッドが小さめのものなど、自分に合ったものを選んでください。
自分に合った歯ブラシを見つけたら、軽い力で小きざみに動かしながら歯を磨きます。歯周病予防の場合は、歯と歯茎の間を磨くことが大切です。歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境目に向けて45度の角度であてて磨きましょう。
全ての歯を満遍なく綺麗にするため、ご自身で磨きやすい順番を見つけて1本ずつ順番に磨きましょう。歯と歯の間、歯の一番奥、被せ物やブリッジが入っている部分など、歯ブラシだけでは十分に汚れを落とせない場所については、歯間ブラシやフロスを活用します。
歯磨き粉を使用しても問題ありませんが、ブラッシングをすることが大切です。歯磨き粉はブラッシングに影響を与えない程度にしましょう。
生活習慣を見直す
生活習慣を見直すことも、歯周病予防では重要です。喫煙している方は禁煙するだけでも歯周病の発症リスクを大幅に低下できるでしょう。
また、食事はしっかりとよく噛んで摂ってください。甘いものや歯につきやすいやわらかいものは口の中に残りやすく、歯周病発症リスクを高めます。繊維質のもの、硬い噛み応えのあるものを選びましょう。
睡眠不足や疲労、ストレスも歯周病の発症に関与しています。早寝早起きを心がけ、適宜ストレスを発散しましょう。
歯科医院で定期的にメンテナンスを受ける
自身でしっかりと歯磨きをしていても、磨き残しが生じる可能性は十分にあります。そのため、定期的に歯科医院を受診してクリーニングをしてもらったり、お口の中の状態をチェックしてもらったりしましょう。
歯周病は、軽度な状態で発見できればクリーニングやブラッシングのみでも改善が見込めます。定期的に歯科医院を受診して、歯周病の予防と早期発見に努めましょう。
まとめ
歯周病は多くの日本人が発症している歯科疾患で、放置をすれば口の中だけでなく全身にさまざまな影響を与えます。放置せずに治療をすることが重要です。特に、早い段階で歯周病を見つけられれば、歯磨きや歯石の除去のみで歯周病を改善できる可能性があります。
歯周病の初期症状は日常生活への影響が少ないため分かりにくいですが、歯茎が腫れている気がする、歯ブラシ中に血が出やすくなったという方は、歯周病を疑いましょう。高齢になっても健康な歯を維持するために、歯周病の予防をしっかりと行っていきましょう。
歯周病の治療を検討されている方は、東京都墨田区、「錦糸町駅」より徒歩3分にある歯医者「ハートライフ錦糸町歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。